室長日記
9月の薬膳ランチコース

9月の薬膳ランチコースを召し上がっていただきありがとうございました。秋分の身体と心に中医薬膳のほっこりのびのびした優しいパワーが届きますように、9月もそんな想いでみなさまをお迎えしました。
9月メインの薬膳スープは研究室オリジナル参鶏湯(サムゲタン)肺や肌を潤したり、夏に失った気血を補う、美肌と疲労回復の生薬をたっぷり使用して、夏の疲れを秋に持ち越さない施膳でおつくりしました。参鶏湯に入れた高麗人参は中国吉林省産の根を贅沢に使いました。
薬膳デザートには先月台湾の薬局で仕入れた「桃の花の涙」と呼ばれる貴重な桃膠をじっくり煮たものを入れました。美容と滋養強壮に良いと言われます。
研究室の薬膳ランチコースは月替わりの施膳、その季節ならではの一期一会な養生ごはんをおつくりしてます。「薬っぽそう…」じゃない「美味しい」薬膳がみんなの「自分に優しくする時間」のお供になりますように。季節の養生お手紙付きです。
10月の薬膳ランチコースのご予約は受付中です。
ランチコース詳細&ご予約はこちらのフォームからよろしくお願いします。
※「お知らせページ」にもリンク🔗があります。
霜降にも薬膳を込めて。みんなに会えるのをお待ちしています。
カズオイシグロとアンモローリンドバーグ
遠い山なみの光は室長が1番好きな作家カズオイシグロの作品の中でも特に戦後の女性の心を生々しく描いた好きな作品。映画公開を心待ちにしていた。
喪失や過去の自分や誰かの亡霊を描くカズオイシグロ作品には、諦めや、喪失感、過去や過去に生きる亡霊のような自分との対峙があって。それが小説全体を霧のように薄暗く覆ってる。薄曇りの空みたいにぼんやりとした風景が読む人それぞれの心に抱える薄い闇みたいなのに響くのかも。
カズオイシグロ作品の映画化されたものの中で室長的にNo.1でした。とても良かった。広瀬すずちゃんの凄みのある美しさが、母になることで社会や家庭から負わされる「母親らしさ」という重責や、母になることで負う「喪失感」を生々しく描いていて胸にずんときました。
男性である、幼少期に日本から英国へ渡ったカズオイシグロだからこそ客観的に描けた母たちの喪失と焦燥。
アンモローリンドバーグが100年以上も前に書いた小説、海からの贈り物、には、母親になることで、少しずつ、とりこぼしていくもの、についてもまた、母親になることで今まで生きてきた自分というものがなくなることへの焦りを描いていたのだったなあ。
母になることでの喪失がなんらかの形で言語化されるイージーな社会になりますように。
秋分の日、秋の七情である憂いとともに考えました。みんなはどう思いますか?
ママはいつも明るくて笑ってないといけない…そんなことないと思うから、自分の心の暗い部分に目を向ける自由もあるよ。そんな自分もだいじだよ、と室長は凄く思います。
ちなみにカズオイシグロ作品の中で1番好きなのは、クララとお日様です。もうすぐ映画化みたいだから楽しみだ。
長く読んでくれてありがとう。秋は芸術の季節だね。
ヒルマアフクリント


秋はしみじみ感じ入りやすい季節だと中医薬膳的には考える。上半期室長が訪れた展示で1番魂が揺さぶられたものを誰にも聞かれてないけど紹介するね。ヒルマアフクリント展再訪記録(こちらは大好きなNYグッゲンハイム美術館での開催時にみんなのこころがひっくり返ったと記憶あり)
物質世界から精神的次元へ向かう神智学の世界にどっぷり浸れる凄い空間だから、いろいろくさくさもやもやしてる人が見たらいいなあ、
《10の最大物》は楽園でした。社会に窮屈さを感じる今だから、心掴まれる。
100年以上前に描かれたクリントの絵画に会えて幸せ。
クニオとヨシロウの建築から出て眺める朝日新聞社が好き。
締めは新宿ベルクと仙太郎
昼ビールもおはぎも最高。
生きてるといいことあるね。
秋の七情は悲しみと憂い

室長が大好きタローマンがただいま劇場公開してる。秩序と常識に溢れてしまった世界に現れた奇獣に対抗するにはでたらめな力が必要!我らがタローマン、でたらめなヒーロー。室長はでたらめが大好き。
中医学で秋は落ち葉や日没の早さに憂いと悲しみを感じやすい季節と言われる。憂いや悲しみは秋の臓、肺を傷つける。肺は乾燥を嫌うから、みんなたいせつな肺を守るため、でたらめなことを沢山考えて沢山笑おー。梨や白キクラゲ、白胡麻や蓮根や手羽先などの肺を潤す食材を食べて肺を養うのもいいよ。(これは出鱈目ではありません)
写真は川崎の太郎美術館へ子どもたちと行ったとき。太陽の塔の顔真似が天才的な末っ子とタローマン。
今日も読んでくれてありがとう。また会いましょう!アディオス!
岡本太郎




中医学ではこころを身体と同じかそれ以上にたいせつにします。暑い毎日、忙しい毎日、気づくと気持ちがすり減ってしまう。たいせつな可愛い自分が喜ぶ時間をあげることが気血を充実させて巡りよく気分よく過ごす大事な養生だったりして、それは何を食べるかってこと以上に大事かも。
ちょっとだけ気疲れた先日、青山まで岡本太郎に会いに行きました。「ルールは守るが、従うわけではない」太郎の言葉に沢山救われた中学時代、集団行動が苦手&協調性なしだった10代。心では学校教育も集団で何かを強制される謎の行事も大嫌いだったけど、わたしも太郎のようにセルフプロデュース力を身につけて社会と上手く付き合ってポップに生きよー、と気持ちが前向きになれたのは太郎の本を読んだからだったな。
岡本太郎記念館は青山骨董通りからすぐ。室長が20代にPRとして働かせてもらってたメーカーのほんの近くです。(この近くの台湾家庭料理ふーみんの豚角煮が大好きで当時良く食べた。最近はお店を舞台にした映画の影響かいつもお店が激混みで全然ふーみんランチにありつけまてん、食べたい…)
さて、大阪太陽の塔内部がミニチュアになって今東京に来ています。2年前に大阪万博公園で訪れて衝撃を受けたその内部、太郎のエネルギーが息づいた展示に身体中の細胞が大きな何かに還りたがっている、と感じたのだった。それは老子のいう大きな自然の摂理タオ(道)の穏やかさとはまた違うまさに生命エネルギーの抑えられない爆発みたい。(子どもたちもただならぬパワーに圧倒されていました。)
太郎記念館に行く時は銀座線に乗る前に必ず渋谷の明日への神話を拝みます。
「人間は素晴らしい存在である、と同時に悲しい存在でもある。」ってね。
大好き太郎、この夏休みは川崎まで子どもたちと太郎に会いに行ってきます!
自分を消耗するアウトプットばかりで心がなんだか疲れたら自分が好きだったことを思い出して、気持ちにご褒美をー!どんな推しでも、自分の推しがあるって最高。みんなも推し活でこころに喜びを与えて心身元気にやりましょー!
ちなみに中医学で夏の五臓は「心」、心は喜びの感情と強く関係しております。
長く読んでくれた?ありがとう!また会いましょう。
